とくもちの解剖日誌

何気ない日常から自己分析したり、発信したりします٩( 'ω' )و

『明日は葉緑体』 二次創作のプチ小説

元ネタのマンガは↓の作品です〜

かくたすず✍️2022/1~ 連載 on Twitter: "人間が光合成できるようになる未来の話 『明日は葉緑体』というSFマンガ(再掲)です。 #創作漫画 #SF (1/8)… "

作者様には二次創作の許可は頂いております。

そういう構想が思い浮かんで、ほぼ物書きとかそういう勉強もしたことがない私がただ楽しんで書いているだけなのでその点ご了承の上お読みください〜🙏

アシタバのイラスト

 

『食べないのは楽だ』と思った。

日々子育てと家事をこなし、楽しい仕事に恵まれて生きている私だが、食への関心は幼い頃から薄かった。

だから夕食の支度をしながら聞くでも見るでもなく、何気なく点けていた夕方のワイド番組のとあるコーナーで紹介されていた新しい実験は、少し私の興味を惹くものだった。

 

『人類緑化計画』

どうやら世界規模の実験らしい。

増えすぎた世界の人口により、人間の呼吸による二酸化炭素が増えて地球温暖化に影響を与えている......

また増えすぎた人口とその欲望は、従来の農業システムでは追いつかず、

より安く・より安全に・好きな時期に・すきなだけ

消費者に提供するために近年歪んでしまった。

大量の食品の廃棄まで現代はおこなっているが、将来的に畑は次第に痩せ、今のように店頭に食品が並ぶことはなく、それどころか食料不足が懸念されている......

それをなんとか食い止めようとあらゆる世界の研究者が共同して製作された薬が「WGM」だった。(World Green Medicine)(日本語の名前だと「緑化薬」)

計画や薬の名前の通り、人間が植物のように光合成をして、体内で酸素を生産して食糧いらずの体になる、という夢のような話......

 

ふぅーと、大きいため息をついて、椅子の背もたれに体重を預ける。

思ったよりしっかりしてそうだな......

というのが正直な感想だった。

夕方のワイド番組なんて話半分に聞くのが丁度良く、お茶の間もそれを望んでいそうなものだ。テレビ製作者をあまり信頼していない私は、正しい情報を得ようとインターネットの海を漂いながら大まかな記事を読み終えたところだった。

「やって、みようかな」

「え、何が?」

珍しくすぐ反応してきたのは夫の雄大だった。

いつも通り夕飯を食べ終えた後から、スマホをずっと見ていた私が気になっていたのかもしれない。

夕飯を作っている時も食べている間も、あの番組の小さなコーナーで紹介されていた「人間緑化計画」がふんわりと頭を支配していたのだ。だから「夕飯」というミッションを終えてすぐ情報収集に集中してしまった。

「ねぇパパぁ、見てこれ〜」

「あぁはいはい、どれ?」

一人っ子の娘は6歳でそれなりに手が離れてきた。と言っても、まだまだ完全に手が離れたわけではないので夕飯後遊びに付き合ってあげるのは夫の分担だ。

生活スタイルを考えてなんとなく決まっていった習慣だった。

「で、奈緒子は何がやってみたいって?」

「うーん、まだ悩んでるんだけど『人間緑化計画』の被験者募集に応募してみようかなって」

「なぁにそれー?」

「私たちは人間でしょ?ベランダにいる鉢に入っているのは植物でしょ?人間を植物みたいに『自給自足』できるような体にしちゃおうって計画の話よ」

「ふうーん、ゆうなよくわかんなーい。そんなことよりここの子がこうでね……」

奈緒子ごめん、またあとでゆっくり聞くから」

こうしたことがあると、娘の友奈が就寝したあとで話すことになる。きっと夫は賛成してくれるだろうけど……

 

「うん、いいんじゃない?奈緒子は仕事もっと頑張りたいだろうし」

思ったよりあっさり賛成されて拍子抜けた。

「え、でも…いいの?そうしたらご飯もつくらなくなるかもしれないし…あなたの負担が今より多くなるかもしれないのよ?」

「それは別にそれでいいよ。俺は奈緒子の仕事を応援してるし、もっと集中して頑張れるならその方がいいかなって思う。世界の研究者が集まってつくっている薬なら、安全性もそれなりに保証されているんだろうし別によくない?何だったら俺が被験者になろっかなー」

「あ、そう…………あなたがそう言うんだったら、申し込んでみようかな」

「にしても緑化計画ねぇ…よく思いつくよな。それって世界の研究の最先端を担うんだし、なんか報酬出たりとかするのかな?」

「うーん、それについてはまた調べないとよく分からないけど…」

 

こうして私は被験者の申込みをして「人間緑化計画」に関わることになった。この判断が、私の人生を大きく左右する…………

ことは、今の私には分からない。

5月の終わりの、もうすぐ梅雨がやってくる季節のことだった。

 

つづく

 

 

めちゃ楽しい。まだマンガで言ったら1/8にも及ばない地点ですがのんびり書き進めていこうかなと思います~また次回もお楽しみに💫

毎週日曜日に更新しようかなと考えています(*`・ω・´)

 

ここまで読んでくださってありがとうございました~

またね🌙

01.30.20:48